VR空間内での広告に未来はあるか?

2019年11月18日

現在、Webコンテンツと広告は切っても切れない関係になっていますが、他のプラットフォーム、例えばVRにおける広告の立ち位置はどのようになっていくのでしょうか。

私は元々、ゲーム業界でグラフィックデザイナーをしていたため、今でもゲームには興味を持ち続けています。
近年、特に注目しているのはVRで、PSVR(PS4と有線接続)で座った状態メインのVRを、Oculus Quest(スタンドアローン)で立った状態メインのVRを経験し、同じVRでもハード構成によって体験できる内容に大きな差が出てくることを実感しました。
現時点では、一部のガジェットオタク御用達の感があるVRですが、今後の技術発展とハードの小型化が進めば、一般層に浸透してくる可能性もあると思っています。

仮に、そのような時代が来れば、必然的に“VR広告”が登場してくることになるでしょう。
そこでVR広告がどのようなものになるか、少し想像してみたいと思います。

バナー広告

簡単に思いつくものとして、バナー広告的なものが挙げられます。
とはいえ、現在のWeb広告的な、視界(画面)の端に常時表示されるような広告は、ユーザーから忌避されることが容易に想像されますので、実装されることはないと思われます。
比較的実装しやすいものとしては、VR空間の背景の一部として表示される広告になるでしょうか。
例えば、VRコンテンツに街並みを表現しているシーンがあったとしたら、街中に存在する看板やモニタにスポンサーの広告が表示されているかもしれません。
場合によっては、映画「バックトゥザフューチャーPART2」の劇中に出てきたジョーズ19の看板のように、視聴者に向けて大きくアピールしてくる広告が出てくることもあり得るでしょう。

オブジェ広告

VR空間内に存在するオブジェ自体が、実在の商品をモチーフとした宣材となっているパターンも考えられます。
Oculus QuestやSteamVRには、ホーム画面ならぬホーム空間といったものが存在しています。
Oculus Questであれば、ホーム空間は未来感のある半球状の建物内の一室であり、室内には洒落た感じの家具などが配置されています。
現時点ではこれらのオブジェは飾りでしかありませんが、ホーム空間のカスタマイズをするのが一般的になれば、オブジェ自体が商品となり得ます。そして、そのデザインが優れたものであれば、現実の自宅にもそれらを置きたいという欲求も出てくるかもしれません。
例えば、IKEAと提携して、実際にIKEAで販売されている商品と同じものをVR空間でも配置できるようにし、VR空間内で家具の詳細を確認すると、そこからECサイトに接続できるといったアプローチが考えられます。
また、プレイヤーの分身としてアバターが用意されるコンテンツであれば、アバターが身につける衣服やアクセサリも商品になり得るでしょう。
映画「レディ・プレイヤー1」の劇中で、主人公がVR空間内で購入した衣服と同じものが現実の自宅にも届けられるというシーンがありましたが、まさにあのような感じで想像してみると分かりやすいでしょう。

ロゴ広告(ブランド広告)

数多くのプロスポーツ同様、eスポーツでもスポンサー企業のロゴの入ったユニフォームを着るのが一般的になっています。
それに類した形で、VR空間内で行われる競技用のユニフォームとして、企業ロゴ入りのアバターを提供するというパターンも考えられるでしょう。
また、一般プレイヤー向けでも、企業ロゴのついた衣服やアイテムを身につけると何らかの特典が得られるといった仕様にすれば、好んで身につける者もいると思われます。
現実世界でも、NIKEやPUMAのスポーツ用品を選んで身につける層はいますので、ブランド力のある企業のロゴ付きアイテムであれば、喜んで使う者も珍しくはないと思われます。

他にもVR動画内に広告を組み込む方法やARを利用する方法など、色々な広告手法は考えられると思いますが、いずれにせよ、VRが普及した後のこととなります。
ただ、同様の趣旨で先行しているゲーム内広告でも、露骨に悪目立ちするものは嫌われる傾向がありますので、既存の広告同様、どこまで商業色を強く出すのかの案配が広告効果に影響してくるのは間違いないでしょう。

執筆者:M.S.