AIの進化とチャットボットの発展

前回のコラムで、Webサイトの接客もリアル店舗のそれに近づくべきという話をしましたが、同様のことを考えている方がおられたようです。

チャットボットの積極活用でCVR・直帰率を改善! 行動データ×会話データで実現する1to1施策
https://webtan.impress.co.jp/e/2020/02/21/34856

こちらの記事で説明されている「体験的価値」の創造という考え方は、まさに私が想定していたものに近いと言えるでしょう。
コンピュータの特性上、会話データを蓄積し、それを分類していくということは得意のはずですので、接客経験を積めば積むほどデータベースが充実し、適切な応対ができる可能性が増えていくはずです。

近年、Googleも自然言語処理に力を入れており、それを活用する方向を模索しています。

Googleの新たな自然言語処理AI「T5」の特徴とは?実際にAIとクイズで対決も可能
https://gigazine.net/news/20200225-google-ai-t5/

昨年後半、英語圏でGoogle検索に採用された自然言語処理技術「BERT」は、それまでのGoogle検索ではうまく処理できなかった自然言語による検索もうまく処理できるようになったと言われています。
例えば「魚介じゃないラーメン」と検索した場合、「BERT」が導入されていない現時点の日本のGoogle検索では「魚介 ラーメン」で検索したときと同様、魚介系ラーメンを提供するラーメン屋に関する検索結果が表示されます。ですが、「BERT」導入後は、検索者の希望通り、魚介系以外のラーメンを提供するラーメン屋の情報が表示されることになるでしょう。

このように自然言語処理技術を活用したサービスが広まっていけば、無料提供によりWebサイト分析のデファクトスタンダードを取ったGoogleアナリティクス同様、Google謹製の自然言語対応の接客用AIが無料提供されるという未来もあり得るかもしれません。

そうなれば、Webサイト、特にECサイトの様相は大分変わってくる可能性があると思います。

汚れっちまった悲しみに ~AI編~

ただ、AIの育成については、不特定多数の人間との会話から自動的に成長するような設定にしてしまうと問題が生じる可能性があります。

数年前、「人間と対話すればするほど賢くなるロボット」としてリリースされたマイクロソフト製のAI「Tay」は、学習開始後、わずか16時間でヘイト発言を連発するようになり、停止させられました。

マイクロソフトのAI、ヘイト発言を「学習」して停止
https://wired.jp/2016/03/25/tay-tweet-microsoft/

悲しいかな、ネット上には悪意やイタズラ心から発せられた「悪い」会話があふれており、純粋だったAIはあっという間に汚染されてしまったわけです。
AIも人間の子供同様、十分な知識や理性を身につけるまでの間は「親(=開発者)」の庇護下に置かれなければならないのかもしれませんね。

まあ、このあたりはAIに関する古典的な命題であり、鉄腕アトムでも「電光」と呼ばれる無垢なロボットが悪人に盗まれて悪事に利用されるという話があったくらいです。
それ以外にも、自律的に成長するAIによって人類に危機が訪れるというシチュエーションのSFには事欠きませんので、AIの開発には十分な注意を払う必要があるということでしょうね。

2018年に亡くなったホーキング博士
「われわれはランプの魔神ジーニーを解き放ってしまいました。もはや後戻りはできません。AIの開発は進めてゆく必要がありますが、危険とまさに隣り合わせであることを心にとめておかなくてはなりません」
と言っています。

フランケンシュタインの怪物を作らないように注意しつつ、より良い未来のための技術革新を進めていきたいものですね。

執筆者:M.S